Fruit bomb フルーツ・ボム

SMWS最新スモールバッチ「ヘレシー」ボトリングは、あふれるほど豊かなフルーツの風味が楽しめる一本だと、ジュリアン・ウィレムズは語る。

『フルーツ・ボム』のレシピに使用されているすべてのウイスキーは、フルーティーでエステリー、そして個性豊かなウイスキーを造る蒸溜所のもの。

以前、蒸溜所で行われたテイスティングに参加した際のことを、私は今でもはっきり覚えている。そこで「ウイスキーの風味の80%以上は、熟成に使われる樽から生まれる」と説明されたのだ。もしウイスキーを飲み始めたばかりであったり、これまで味わってきたウイスキーの記憶をもとに自分の考えを持つことにまだ自信がなかったりするなら、「風味の80%以上が樽由来」という事に驚かず、疑問を抱くこともないかもしれない、もっとも、ピート香のあるウイスキーに出会うまでは…の話だが。しかし、それは今回の話題ではないので置いておこう。確かに、樽はウイスキーの風味を育むうえで欠かせない存在だ。しかし、最終的には、このような明確な数字は、よく言っても単なる一般化に過ぎないと気づくまでに、それほど時間はかからない。

Fフルーティーで、エキゾチック、そして果樹園を思わせる風味

そこで、その主張を実際のモルトで確かめるべく、最新の『ヘレシー』リリース、『Fruit Bomb-フルーツ・ボム』を見てみよう。今回は樽タイプを巧みに組み合わせるような仕掛けはない。ファーストフィル・バーボン樽で熟成されたウイスキーを幅広く組み合わせ、ひとつの主張を形にしたものだ。
この構成をなす、すべてのウイスキーは、個性豊かでフルーティーかつエステリーな香味を生み出す蒸溜所のもの。その組み合わせによって、果実味あふれる、エキゾチックで果樹園を思わせる風味が次々と広がる。樽の影響を探せば、もちろん見つけることはできる。しかし、この一本において主役なのは、決して樽ではない。

このブレンドに選ばれたウイスキーは、3つの蒸溜所のものから構成されている。大部分を占めるのはハイランドの2つの蒸溜所で、そこに洋梨キャンディのような香りと果実味あふれる個性で知られるスペイサイド蒸溜所の1樽を加えている。
今回選ばれた2つのハイランド蒸溜所は、どちらも非常にフルーティーなウイスキーを生み出しているが、果実の表現においてはまったく同じ方向性ではない。それらを組み合わせることで、可能な限り幅広く、力強く、豊かな果実味を引き出し、風味をさらに高めることができると考えた。

樽は風味を支える存在

樽の種類について、もう少し掘り下げてみよう。ファーストフィル・バーボン樽とは、アメリカで一度バーボンウイスキーの熟成に使用された後、スコッチウイスキーの熟成のためにスコットランドへ送られる樽のことを指す。この工程によって、新樽が持つ木の強さや力強すぎる風味が和らぎ、比較的新しく、十分な活性を保ちながらも、ウイスキーの個性を圧倒しない、使いやすい樽となる。

実際、一般的にこれらの樽はバーボンの熟成では一度しか使われない。また、バーボンが造られる地域とスコットランドでは気候が大きく異なるため、アメリカでの熟成の進み方はスコッチとは異なる。その結果、これらの樽がアメリカで使われる期間は、スコッチウイスキーで同様の樽が使われる期間よりも短くなるのが一般的だ。こうして輸入された樽は一般的に、バニラやココナッツ、クローブのようなスパイス香、そして控えめなスモーク香をウイスキーにもたらすことで知られている。

これらは「ファーストフィル」と呼ばれるが、一般的には、新樽やシェリー樽、ワイン樽と比べると樽由来の力強さや木のニュアンスは穏やかでありながら、ウイスキーに十分な風味を与える樽とされている。しかし、今回際立っているのはそこではない。バーボン樽は十分に活性を保っているものの、あくまで脇役として機能しており、ココナッツやクリーミーなバニラの風味が、他の香味をつなぎ合わせ、調和させる役割を果たしている。

『フルーツ・ボム』は、楽しく、夏らしく、そしてたっぷりとした味わいの旅へと、あなたの舌を誘う。

夏を感じる、楽しく豊かな味わいの旅

『フルーツ・ボム』では、バーボン樽の影響も感じ取ることができるかもしれない。しかし、このウイスキーを支配しているのは、エステル由来の華やかでフルーティー、そして夏を思わせる風味だ。原酒由来の要素としては、桃、赤リンゴ、パイナップルキューブ、ピーチヨーグルト、完熟バナナのお粥、ドライアプリコットといった味わいが広がる。そして、スパイシーな樽由来の要素として、バニラ、ココナッツ、コリアンダーシード、白コショウが加わり、贅沢で豊かなフルーツバスケットのような風味をさらに引き立てている。

アルコール度数は50%まで下げているものの、水を加えることをためらう必要はない。この一杯は加水との相性が非常によく、ビスケットやココアパウダー、キウイ、イチゴの風味が現れ、シャンパンやピムス、ホワイトサングリアで流し込むような爽やかな味わいへと広がっていく。

長年ウイスキーに携わる中で、見た目だけでは分からないことが多く、安易に推測を広げすぎないほうがよいと学んできた。確かに、特定の樽と特定の原酒を組み合わせれば、ある程度決まった結果につながる傾向はある。しかし、オークのような生きた素材を扱う以上、その仕上がりを完全に予測することはできない。

だからこそ、ウイスキーは樽だけで決まるものではないということを、ときには思い出す必要がある。多くの人が簡単に脇役へと追いやってしまうが、原酒そのものの個性もまた重要な要素なのだ。
一括りの数字や絶対的な答えにとらわれることなく、『フルーツ・ボム』が、楽しく、夏らしく、豊かな味わいの旅へとあなたの舌を誘ってくれる。ストレートで味わうのもよし、加水するのもよし、ハイボールにするのもよい。この一杯は多彩な表情を持ち、どのような楽しみ方でも応えてくれるウイスキーだ。

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