HERESY: SMOULDERING MOJO

スモルダリング・モジョ:伝統を揺るがす「異端」の共演
ソサエティの「ヘレシー(異端)」シリーズ最新作は、アイラ・ウイスキーをメスカル樽で熟成させた驚愕の一本です。2019年の規則改正で認められたメスカル樽は、伝統派の間で最も議論を呼んだ樽の一つ。
しかし、ウイスキーで信じるべきは噂ではなく自らの「味覚」のみ。メキシコとスコットランドの個性が激突し、魔法のように融合した「バッチ34:スモルダリング・モジョ」の真価を紐解きます。
2026年1月にリリースした「バッチ33:スクランプシャス(Scrumptious)」はカルヴァドスでシーズニングされたSTRバリック樽で熟成されたバッチですが、さらに超えるものとは何でしょうか?もちろん、メスカル(Mezcal)樽です!しかし、なぜこれらの樽が「議論の的」と見なされたのでしょうか?それにはいくつかの理由があります。そこには、スコッチ・ウイスキーにおける「伝統と革新のバランス」という古くから続く論争の、あらゆる論点が詰まっていました。皆さんがその議論を知っていたかどうか、あるいはどちらの立場にいたかにかかわらず、私たちはこれらの樽で実験を行うことを決め、熟成のために選んだウイスキーに与えられたその風味を存分に楽しみました。議論を蒸し返したところで、バッチ34が美味しくなくなるわけではありません。
メスカル樽はスコッチ・ウイスキーにおいて伝統的ではないという理由で、このボトルを楽しむのを思いとどまらせようとする人がいるかもしれません。意見を持つのは個人の自由です。しかし、ウイスキーに関して言えば、目や耳を信じてはいけません。信じるべきは他の誰でもない、あなた自身の「味覚」です。その精神に則り、人づてに聞いた噂(hearsay)ではなく、自らの体験を通じて意見を構築することをお勧めします。これらの樽はすでに公式に認められた存在なのですから、そのポテンシャルを確かめてみようではありませんか。

まず、この一杯を初めてノージングした時、私たちは皆、衝撃に備えて身構えました。まるでアイラ島に夏の嵐が襲来する直前のような感覚です。逃げることもできず、ただ浜辺に立ち、濃いグレー紫色の雲が立ち込めるのを眺めている――その重みが、激しい雨と雷、そして打ち寄せる波となって岩だらけの海岸を叩きつける寸前の情景です。最初の香りに含まれるスモーキーさとハーブの要素は、とにかく強烈でした。タイム、ローズマリー、マジョラムが互いに存在を主張し合い、熱い炭の上に放り投げられたかのように蒸発していきます。ここには解き明かすべき要素が山ほどあります。ピートの栄光をまとったアイラ・ウイスキーが主役を張りつつも、極めて個性的で力強いハーブのニュアンスを披露しているのです。何か別の、普通ではない何かが起きています。
それが何であるかを知るには、メスカルとは何か、そしてどのように作られるかを理解する必要があります。簡単に言えば、メキシコでアガベ(竜舌蘭)の果汁を発酵・蒸留して作られるスピリッツです。
では、メスカルはテキーラとどう違うのでしょうか?テキーラが土っぽい(アーシーな)風味で知られるのに対し、メスカルはその強烈なスモーキーさで知られています。この独特のプロフィールを生み出す製造工程には、明確な違いがあります。まずは原料のアガベです。テキーラが特定の地域の1種類のアガベのみから蒸留されるのに対し、メスカルには様々な地域の少なくとも30種類以上の種が使用されます。もう一つの大きな違いは、アガベの加工方法です。アガベに含まれる澱粉を糖分に変えるには、植物の該当部分(ピニャ、つまり「芯」)を長時間加熱する必要があります。ここで二つ目の違いが顕著になります。テキーラはレンガ造りのオーブンや近代的なオートクレーブ(高圧蒸気釜)で加熱される、より合理的で管理されたプロセスですが、伝統的なメスカルの工程ははるかに手作業に頼っています。地面に穴を掘り、石を敷き詰め、炭火で石を高温に熱します。そこにピニャを入れ、アガベの繊維と防水布で覆い、数日間蒸し焼きにします。この時の温度と穴の中の煙によって、アガベにスモーキーな風味が備わります。これは、スコッチ・ウイスキーにおいてスモーキーでピーティーな風味を出すために、製麦中にキルン(乾燥塔)でピートを燃やす手法を彷彿とさせます。
加熱されたアガベを粉砕して糖分を含んだ果汁を取り出し、発酵・蒸留させます。ここでも、工業規模のテキーラ生産との違いが現れます。伝統的なメスカルの生産者は、サイズ、形状、材質などが千差万別の非常に多様な蒸留器を使用します。しかし伝統的には、多くのスコッチ・ウイスキーと同様に2回蒸留されます。ですから、少なくともこの点においては、私たちにとっても馴染みのある領域と言えるでしょう。
「バッチ34:スモルダリング・モジョ」に使用されたウイスキーの大部分は、非常に力強いピーテッド・ウイスキーを造ることで知られ、愛されているアイラ島の蒸留所のものです。これを、スモーキーでフルーティー、かつハーブや野菜のノートを持つメスカルのシーズニングを施したSTR樽(シェイブ、トースト、リチャーを施した樽)で2年強熟成させました。その結果、タールのような印象を伴う力強いスモーキーさ、糖蜜、黒蜜に漬け込んだハム、ヒッコリーで燻製したサーモン、そしてこのボトルの名前の由来となったモジョ・ソース(クミン、オレンジ、ライム、コリアンダー、ミントを含み、一般的に豚肉料理に使われるソース)の風味が生まれました。
これは決して万人向けの一杯ではありません。しかし、もしあなたが「ねっとりと甘く、スモーキーでタールのような風味」を好みのリストの筆頭に挙げているなら、思い切って試してみることで、この上ない報酬を得られるはずです。自分が普段考えもしないような新しいことに飛び込むのは、必ずしも簡単なことではありません。しかし、これこそがソサエティの道です。既成概念(自分自身のものも他人のものも)や平凡な日常に挑戦すれば、新たな風味の境地が拓かれます。広い心を持ってください。これらのメスカル樽は世間を騒がせたかもしれませんが、この「スモルダリング・モジョ」を味わえば、それが単なる「煙に巻くようなまやかし」ではないことに、きっと同意していただけるはずです。
スモルダリング・モジョは4月3日に発売する予定ですが、3月のオンラインテイスティング会に他の4種類のヘレシーシリーズボトルと共に出演しますので味わいたい方はぜひご参加ください!